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【295】 § 20111014-《栞》-[m‐♀] §

2011/10/19 22:37
【2011/10/14金曜日(午前中:晴天・夜半より曇り時々小雨)】

M‐♂と混浴デートの約束をした日。

……【m‐♀記】

M‐♂が私の在所まで車を駆って、来て下さいました。
遠距離の私たち…。
前回…9月17日の逢瀬もでしたが…出発されてから、あり得ないほどの早さで此方までやって来て下さるM‐♂。
途中、途中でiPhoneに今何処にいるか?GPSデータを、現在位置をGoogleMap上に表示して此方に転送して下さるのですが…

『今、此処』
を通過したばかりで…
どうして…
『もう…其処なの?』

と言う冷や汗の出る速さ。

『韋駄天ですか?』

と、毎回、慌てながら出発の用意をさせて頂く私です。(笑)
勿論、ゆうゆうと待ち合わせ場所にお着きになって…

『到着』

とmailを下さりました。

『ちょっと、お待ち下さいね。』

と、玄関でブーツに脚を入れながらmailの御返事をお返しして笑みが零れ落ちます。

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待ち合わせ場所で合流。

ふたりともカメラの機材やエッチグッズやらで大荷物。
朝の御挨拶と交わし、私は此方にわざわざお見え下さった御礼を申上げながら私の荷物を移して頂きました。

移し終わると同時に…

『カメラを出して…撮ってみよう。』

と仰って下さいました。

『はい。』

私は慌てて、バックを開けてデジタル一眼レフを取り出しました。
カメラケースを外して、外気に晒された、私のカメラを受け取って下さいました。
用意してきたメディアを挿入し、M‐♂は車から足早に離れます。
私も其の後ろを、追いかけるように小走りでついてまいりました。
ある程度の距離まで離れると2人の並んだ車に向かってカメラを構えて位置取りや調整をして下さりました。

カシャ…

と重くもなく軽くもない上品な音が朝の空気に溶け込んでいきました。

『ごめん。シャッター切れちゃった。』

と仰って下さいましたが…

『いえ。M‐♂に最初の一枚目のシャッターを切って頂けて私は嬉しいです。』

と弾んだ声で答えました。
私の『愛機』の初めての画像はM‐♂が撮って下さった、ふたりの車が並んだ御写真になりました。
心からお慕いする彼に、私の『愛機』を目覚めさせて下さる、記念すべき一枚目を刻んで頂き望外の喜びにほかありません。
私は夏の盛りに一カ月半の入院生活を余儀なくされました。
力無くした私を彼が毎日毎日、mailで支えて下さいました。
様々な医療器具に囲まれ、身体には何本もの管や装置が取り付けられていました。
ベッドからは一歩も自力では動けない状態が続きました。
M‐♂へのmailも枕元にiPhone置き、横向きになりながら片手の指先一本で何時間も掛かってやっと短い文章を打ち、其の一通を差し上げられるのがやっとでした。
そんな中のお送りした一通に…

『立ち上がって歩ける様になったらM‐♂と御写真を撮りに行きたいです。一眼レフを持ってみたい。』

と御話ししていました。
それを覚えていて下さり、M‐♂の御支えもあり無事に退院した私にM‐♂は御自身の愛機を勧めて下さいました。
生産は中止になっている機種ですが、中古でも良い状態のものが見つかれば…と毎日の様にネットで探しておりました。
そんな或る日にとうとう理想的な状態の機体と巡り合いました。
はるばる九州は長崎県佐世保から来てくれた私のデジタル一眼レフです。

混浴デートの当日は、M‐♂の御指導も兼ねた、私の愛機初デビューの日でもありました。
M‐♂が私にカメラを手渡して下さり、写して御覧…と、そくして下さいました。
手にしっくり馴染むカメラの漆黒の肌の感触を確かめながらファインダーを覗き、M‐♂に見守られながらシャッターを切った私でありました。

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ひとしきりの御教示を頂いて、カメラを仕舞い出発です。
目的地は山奥の混浴露天風呂。
抜ける様な青空で陽射しも強く、車内は暑く感じる程。
山道に入ると除除に人家が少なくなり…色取り取りの紅葉の世界が広がりました。途中、V字の渓谷に掛かる端の上から御写真を撮りましたが、画像がまっ白に塗りつぶされてしまう白飛び現象で、階調も残らず良い御写真は撮れませんでした。
ブログに載せられるかとチェックをしたのですが、階調不足で修正しきれない感じです。
これも経験ですね。失敗は成功の母。良き教示と思いました。

其処から暫く山道を上がっていくと…待望の露天風呂がありました。
露天風呂での様子は後日、改めて…。
今日は、其処であったエピソードを御話ししたいと思います。

露天風呂には一番乗りで、平日だった事もあり、暫くの時間、M‐♂と2人きり…
大きな縦長の露天風呂を独り占め…いえ、2人占め(笑)していました。
ふたりで触りっこをしながら、ぴったりと寄り添って湯舟に浸かったり…岩の淵に腰かけて涼んだり…。
と…急にM‐♂が湯舟の中を歩き始め、頭上から降り落ちて湯舟に浮かぶ秋色に染まった葉っぱに手を伸ばしながら…

『後で此の写真を撮ろう』

と仰って下さりました。
ふたりして、形の良さそうな葉っぱを湯舟から拾い集めました。
濡れた秋に色付いた葉は艶々とした女性の肌の様に輝いておりました。
色付いた葉を集める御姿に、少年の様な初々しさを感じ、彼の背中に微笑んだ私でした。

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葉っぱは此の後、ラブホに移動した時にM‐♂から御教示を受けながら御写真を撮らせて頂きました。

フローリングの床の上、食事が運ばれてきた時の木のお盆などに葉っぱを置いたり、載せたり…動かしてみたり…レフ板やリングライトを使いながら、2人して、あーじゃない、こーじゃないと、とても楽しく撮らせて頂きました。

『ベッドの上でも、いいんじゃないかな。』

彼が御声を掛けて下さりました。
私は葉っぱを持って、ベッドに向かいました。
M‐♂と愛し合ったベッドは、乱れて白い波の華の様に波打っておりました。
私はベッドに上がり、膝立ちになり、眼を瞑って…
頭上から、はらはらと葉を散らせたのです。
ゆらゆらと漂う様に舞い落ちる秋色の風情…。
露天風呂に浮んでいた葉っぱに戻った様に、更に艶やかに見えました。

m-♀露天風呂落ち葉(2011.10.14【栞(2)】S)

山深い温泉の湧き出る場所を選んでお連れ下さった御心遣い…。
秋色に染まる山の中で御一緒出来た喜び…。

そんな《想い》が凝縮された葉っぱたち…。
私は…彼がかけがえのない素敵な思い出を贈って下さった事に感謝しながら…

カメラを構えていました…。

彼と同じ空間にいさせて頂く事の素晴らしさを噛み締めながら…。

ファインダーから覗いた時…。
一瞬…その覗き窓から何も見えなくなっていました…。
頬に涙が流れ堕ち…顎を伝い…

ぽたり…

白いシーツに出来た私の涙で濡れた小さな滲みが…優しい色合いで透けて見えました。
丁度、後方のソファーの方にいらしたM‐♂に私の肩の震えが見えないようにと、カメラを持つ手に力が入り…
ぐっと…脇を締めた、私でした。

《想い》

葉っぱにレンズを向けながら…
心は後方のM‐♂に焦点を合わせ、その気持ちをカメラのシャッターを切る時に投影させていたのは言うまでもありません。

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M‐♂からは帰る時に葉っぱを持ちかえる様にと言って頂きました。
帰り際…身支度を整えながら葉っぱの事に気が付き…

『あれ…?M‐♂…葉っぱは?』

と申上げると…

『葉っぱは本の間に挟まっていますよ…。』

と仰って下さいました。

《…本…》

M‐♂は私の為に愛機の事が書いてある専用の雑誌をお持ち下さり、貸して頂きました。
其の本の間に挟んで下さったのです。
私は、もう一度、ぎゅっと…貸して頂いた本を抱き締めて御礼を申し上げました。
貸して頂く大切な御本に挟み…押して下さった御心遣い…。

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何時もの様に後ろ髪を引かれる思いでM‐♂と…其々の帰路に付き…
おうちに帰ってから、雑誌をそっと開きました。

m-♀露天風呂落ち葉(2011.10.14【栞(3)】S)

もう乾燥が始まった葉は、ふたりで写真を撮った時より、ひと回り小さくなっておりました。
本に挟まった、其れを見たとき…
まるで『栞-しおり-』の様だと思いました。

しおりは、動詞「枝折る(しおる)」の連用形が名詞化された語です。
この「しおり」は…
即ち「枝折る」や「枝折り」、「栞」は当て字でであり、また、「枝折る」は、「草木をたわめる、しなわせる」という意味の「撓る・萎る(しおる)」と同一語源と考えられているのです。

読みかけの本のページに目印を付ける短冊を「栞」といいます。
古の人々は山道を歩く時、帰路に着くとき、あるいは再度訪れる時、道に迷わないように木の枝を折って道標にすることから「しおり」と呼ぶようになったそうです
さらに、木をおるだけでなく、草木に紙を結んだりして、目印にしました。
そこから転じて、先程申し上げました様に読みかけの頁の目印に入れる短冊や手引書や案内書を「しおり」と呼ぶようになったのです。

『栞』…M‐♂はまさに私の道標であります…。
様々な事に気付かせ…
様々なものを支える礎になって下さっています。

『栞』…其れは、何時も、さり気なく置かれていて…
私自身に無理をさせず、ひとつひとつのパズルのピースが揃う様に御配慮頂いていると思います。
自分から、其の『栞』に気が付く事が出来るか?は、私の努力の為せる処でしょう。

m-♀露天風呂落ち葉(2011.10.14【栞(4)】S)

紅葉の季節となり様々な年輪を持つ木から舞い落ちた葉は何千…何万…
数える事の出来ない悠久の様に折り重なっていきます。
たった一枚の葉も…
彼が拾い選んだ瞬間に、私たちの《生》を同時に受け取り…
新しい命を宿し…私たちに取り【意味の在るモノ】に変化いたしました。
小さな…小さな…

《一枚の葉》

其の、小さき一葉(ひとは)であっても…
影を作るのです。
《影》を生み出す力があるのです。
例え小さくとも…
力強い濃い影を作る事が出来るのです。
一枚ではなく…《想い》と言うもう一枚の葉っぱ…二枚目の葉を生み出す事が出来るのです。

M‐♂への零れ溢れ落ちる様な、たわわな私の《想い》を…掬い取ってくれるのも…
彼の『栞』…

私の身体が病床にあり…立ち止まった時…
そっと…枕元で見守ってくれたのも…

M‐♂の《想い》の…
『栞』
でした…。

私は…愛おしく、ひと回り小さくなった葉っぱを眼に写し取り…
持ち帰った本に、また…そのまま…そっと葉を挟み…

抱き締めました…。

…the end…。
URL山桜  主題歌:一青窈 栞(しおり)

m-♀山桜(2011.10.14【栞(1)】S)
 

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