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M-0080219-m
楓(かえで)の木は…
御庭の木製のデッキに寄り添う様に…
配置をして御座いました…。
他の…落葉樹は、既に…全て、葉を落とし…
落ちた葉は…
かさ…かさかさ…
と…様々な木々の葉と混ざり合いながら…
わたくしの足元で、風に舞い…
くるくると渦を巻いておりました…
…………………庭は…………………
丁度…風の通り道になっておりました…
庭に数多く点在する落葉樹の中で…
枝に葉の残った楓(かえで)の木が、最後の…一本になっていたので御座います。
【その】…最後に…くすんだ赤い色を纏(まと)った楓の木の細い枝から…
【赤い葉】を…
そっと…
一枚、手に取りまして…
自分の、手の平に重ねました…。
可愛らしい大きさで御座いますが…
まるで…
人の手の様にも…思えまして…
その…様子に、自然と微笑みが零れました…。
…そう…
まるで…
人の手の様で…
わたくしは…
葉の付いた何本かの枝を、手折りまして…
家の中に戻ってまいりました…
ゆうるり…と…
眼を閉じて…
そっと…
まあるく…腕で円を描く様に…
枝を…抱(かか)え込み、枝を抱き締めておりました…
そうして…
ゆっくりと…自分の呼吸音を確かめながら…
心の中で…
呟やいたので御座います…。
想い人の【名】を…。
…そう…
そうして…
ゆうるり…と…
眼を開いて…
わたくしは…
枝を手に持ったまま…
床に、身を横たえたので御座います…
暫らく…枝を愛撫する様に…撫でておりました…。
わたくしは…
静かに…己の、光沢のある黒い生地の衣服の、胸元をはだけ…その、枝を…
自分の胸の上に置きました…。
小さな赤い手が…
わたくしを覆っておりました…。
そうして…【それ】は、わたくしの【呼吸】と合わせて、ゆっくりと胸の隆起の上で上下し…
生きている様に、ゆらゆらとした動きを繰り返してもおりました。
その、赤い葉を付けた細い枝が…
その上下の動きに合わせて、少しづつ、ずれていき…
やがて…
するり…っ…
と…身体の線に沿う様に…落ちていきました。
そう…わたくしの肌を、撫でるように…
枝は…
ぽとりっ…と…
床に、滑り落ちました…。
まるで…
わたくしの身体を…
愛撫する様に…
枝は…
わたくしの、身体をなぞり…床に着いたので御座いました。
それは…
優しい…
【赤い手】の愛撫で御座いました…。
わたしくは、再度…
その枝を手に取り…
口唇を寄せて…
その、小さく、冷たい葉に口づけを与えておりました。
そして…
わたくしは…
眼を瞑り…
耳に、そっと…
【赤い葉】の枝を当てました…。
わたくしの、長い黒髪に擦れて…
かさ…かさかさ…
と…音を立てて、わたくしの、耳に響き…
そして…届きます…。
でも…わたくしは…
その葉の擦れる音の中から…
微かな、人の声を…聞き分けておりました…。
…………………………そう…………………………
………………………想い人の………………………
………………………≪声≫を…………………………
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