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M-0080219-m
キッチンから…
移動してゆく…
わたくしの全裸の身体から…
先程…浴びた…
【柚子】の果汁が、芳香を放っておりました…
そうして、それは…
ゆうるりと…
夜の沈んだ空気に溶けだしていきました…。
果実の酸味の強い香りが…
ひと足…ひと足…身体を運ぶ毎に…
足元に広がってゆくので御座いました…。
まるで…
わたくしは…
【香り】の波間に立っている様で御座いました。
【まるで…《香り》と言う波に…浚(さら)われてしまいそうだ…。】
わたくしの、足取りは、何故か…心許無く…
揺れる様に…
身体を運んでおりました…
そして、その【香り】は…
わたくしの肌の上で…人肌の温度に焙(あぶ)られて…
更に強い柑橘系の、かんばしい香りを醸(かも)し出すので御座いました…。
すると…その、広がり始めた【香り】が、徐々に変化をしてゆくのが解りました…。
その【香り】の中に…
バニラ-vanilla-の甘い香りが…
混ざり始めた事に気がついたので御座います…。
くんっ…
わたくしの…鼻孔を、甘く切ない香りがなぞり始めました。
ぶるりっ…
わたくしの背中が震えました。
わたくしは…二階に続く階段の途中で、軽い目眩を覚え立ち止まっておりました。
その…自分の身体から、漏れ出す【香り】に酔ってしまい、足元を取られてしまったかのようで御座いました。
木製の手摺りに、もたれ掛かる様に…身を預け…
わたくしは…自分の歩む方向を見上げておりました…。
身体から溶けだした…
甘く切ない香りが…
わたくしを…押し包んでおりました…。
その…【香り】は、わたくしの身体を、指先で愛撫するようになぞりながら…
ゆっくりと…足元に沈んでゆくので御座います…。
『あ…っ…あぁ……。』
わたくしは内腿に【何か】の流れを感じ…唇を震わすして熱い吐息を漏らしておりました…。
それは…確かに、わたくしの身体の中から流れ出していきました。
そう…わたくしは…【感じていた】ので御座います…。
わたくしの脚は、バギナ-vagina-から流れだした愛液で濡れておりました…。
更に…
淫猥な【香り】が、交り合い始めました…。
鼻孔に流れてくる香りは…色情的な香りへと変化していくので御座いました。
わたくしは…
溶けて…
無くなって…
しまいそうで御座いました…。
そう…
わたくしの身体から流れ出た…
【香り】と【愛液】…
その…ふたつに、包まれた、わたくしの脚の感覚は…
徐々に無くなっていったので御座います…。
わたくしは、手摺りに添えた左手を…
ぎゅうっ…と握り締め…
身体が崩れ落ちないように支えておりました。
…わたくしの、もう一方の手に握られている、グラスの氷が溶けだして…
…からんっ…
と…音を立てて…グラスの中に沈んでゆきました
と…同時に、炭酸水の中で一瞬大きく弾けた細かな粒子が、わたくしの手を刺激してくれたので御座いました…。
わたくしは、その、氷の崩れ落ちる音と、微かに手に受けた炭酸の飛沫の刺激を合図にして…
思いついたように…
脚を前に運んでおりました。
しかし…
いったん、消えてしまった…脚の感覚は…
戻る事は御座いませんでした…。
わたくしの脚は…
まるで…
夜のしじまの中に…
溶けて…しまったかのようで御座いました…。
そう…
《香り》と言う波に…溶けて…
浚(さら)われてしまったので御座います…。
To be continued…
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≪連載記事:前記事参照≫
【 白い真珠、黒い真珠…。-white&black-《其の一》【-キッチン-】】
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